カルチャーリポーター
   
 

 

ico-report01言語と文字から見る東アジア文化交流の可能性

report01-1我々が日常生活で、当然のごとく見聞きする言語、文字とは地球上でヒトだけが持つ高度且つ優れた能力である。人類の進化や文明の発展と共にその形を変化させながら共存する。世界にはさまざまな言語があり、文字がある。自身が選んだわけではないが、多くの場合生まれた国の言語、文字を学び使用する。日本で日本人として生まれた私自身はその例外なく日本語を学び日本語教育を受けながら言語、文字に触れてきた。「漢字」という文字もその教育のなかに自然と溶け込み日本語として違和感なく受け入れられた。あくまでも日本語として漢字が使われる時、違和感がないのであり外国語としての漢字と捉えるとき話はまた別になってくる。元々、漢字は日本で作られたものではなく、日本以外で使われる時、その性質や形態も多方面に分かれるのだがもちろんそんなことを普段、意識することはない。
日本、中国、韓国を客観的に見たとき「漢字」を共通点に新たな目線で各国を知り、もたらされる利便性、そして文化交流の可能性を考えてみたい。
 
日中韓で共同常用漢字として定められた漢字が約800字ある。これらの漢字を使いある程度の意思疎通を図ることが可能とされているが、実際は共通の漢字でありながら意味が全く異なるものや、読み方や発音の違いがあるものも多い。
またひとえに漢字と言っても中国は簡体を日本は略字体を、韓国においてはハングルを使った文字が普及し漢字の使用頻度はごく限られたものとなっている。このように隣接する3か国の漢字に対する概念や存在意義は大きく異なる。
そもそも、漢字は中国を起源としすでに3000年余りの歴史を持ち、日本や韓国に漢字が伝わり使用するようになってからも1000年以上の年月がたつ。漢字を取り入れた時期や経緯についてもさまざまな仮説や研究が繰り広げられ、深い歴史の中で長い時間をかけ変化し、発展してきた。漢字を取り入れる以前も、言語を伝える手段はいくつか持っていたとされるが、漢字を導入することで、文字という認識の中で人に伝達するツールが大きく形成されていった過程は想像に難しくない。文字が生まれ、時間、土地、意思、文化などありとあらゆるものを管理するツールとして絶大な威力を発揮するところとなったのだ。しかし、3国の間で漢字のみが文字として流通するに留まらず、日本では平仮名、カタカナが生まれ、韓国では後にハングルになる古称である訓民正音と呼ばれる表音文字を誕生させることにより、より自国にあった表記を追求し、独自の文化へと発展させる道のりを歩むこととなった。
 
この東アジア3か国を漢字文化圏と一括りにするといささか軽々しい印象をおぼえるが、私たちが共通して使用する漢字を通して互いを理解し、交流を深め、尊重しあう良好な関係作りを目指し、役立たせることと共に、歴史や文化をアジアのみならず世界に誇る文字文化として各国に伝え、引き継ぐ礎にしていきたい。
 
カルチャーリポーター:百衣由佳
 
 
【参考文献】
高島俊男「漢字と日本人」 文春新書
小林英樹 「現代日本語漢語と動名詞の研究」東京ひつじ書房
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/